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浅草の履物専門店「辻屋」で、100年を超えて受け継がれた和服に合う1足を見つけよう
観光地での和装体験は、観光客に人気のアクティビティです。和装をした人の足元に目を移すと、日本の伝統的な履物「下駄」と「草履」。慣れない方は長時間歩くと足が痛くなってしまうこともあります。浅草にある創業100年の履物専門店では、その場で自分の好きな鼻緒と台を選ぶことができ、職人さんが自分の足にあった履物を作ってくれます。
和服に欠かせない、伝統的な履物
浅草には浅草寺など、下町風情のある景色が広がっています。和服や浴衣に着替えて、散策したり記念撮影をすれば、そんな街並みにも溶け込めます。和装体験をする際は、「草履(ぞうり)」や「下駄(げた)」といった、日本の伝統的な履物を履きます。
創業100年以上の履物専門店「辻屋」では、その場で下駄や草履を作ってくれます。店内にはさまざまな履物が並べられており、店内を眺めていると、履いて外に出たいと思うに違いありません!
職人を守り、新しい挑戦を続ける「辻屋」
辻屋は大正元年(1912年)、初代店主の辻 巳之吉(つじ みのきち)さんから始まりました。その後、1923年に起こった関東大震災や、第二次世界大戦の空襲を経験し、存続の危機にも陥りましたが、後継者たちが代々お店を守り、浅草の地とともに現在も営業しています。
現在は4代目・富田 里枝(とみた りえ)さんがお店を引き継ぎ営んでいます。服装の洋風化にともない履物の需要は減ってきていますが、妹と2人で、これからの時代に新しい扉を開けようと、オンラインショップやメディアで発信などしながら奮闘しています。
富田里枝さん
お店には現在、50年一緒に頑張ってきた職人と、新米の職人が1人づつ。日本の履物を販売する専門店や職人の数は少なくなってきているからこそ、辻屋は職人の存在を重視していると、富田さんは言います。
訪れているお客さんはさまざま
以前はお客さんの大半が常連客で、仕事をする上で和服を着なければならない茶道家や邦楽家、そして普段から和服を着ていた人たちでした。
現在では、ふと下駄を履いてみたいと思い立ち寄る人、海外の方も購入しに来るそうです。また浅草で活躍する人力車の引き手の方々も、下駄を買いに訪れるのだそう。
職人が手掛けた品質のよさ
長く使用でき、品質を保証するため、木や皮、竹などすべての材料が日本産でできています。運がよければ職人が履物を作る様子も見学することができます。
特別に履物を作る過程を教えてくれました。自分の好きな鼻緒(※1)と台を選び、足に当てて少し調整した後、約15分で自分だけの下駄や草履を作ることができます。
※1:鼻緒……下駄や草履の、足の指をはさむ部分。
職人の熟練した様子を見ると、こちらも息をのんで集中してしまいます。
適切なサイズは自分の足よりも1~2センチ小さいもので、かかとが少し出るくらいがちょうどいいそうです。大きすぎるもの、小さすぎるものは鼻緒と足の摩擦が大きくなってしまうのだとか。
人気の下駄商品
店内に並べられているものは独特で素朴な形。それぞれ風情があり、一種の芸術のようでもあります。
地面につく「歯」の部分の形の違いで、足を置く台の木が異なります。辻屋では、軽くて吸水性の高い桐を主な素材として作成しています。
富田さんのオススメは上の写真の千両下駄。地面に触れる面の前方が斜めになっているものです。2本の歯がある伝統的な駒下駄よりも動きやすく、安定しているとのことです。
下駄の台に絵を描いたデザインも、日本人から人気があります。実際に履いてみると、歩くごとにデザインが見え隠れします。また玄関先に置いて観賞用としても素敵ですね。
龍や鬼など日本の伝統的な絵は、魔除けとして使用されることもあるとのことです。
オススメの下駄・草履
赤と黒で模様がつけられた下駄は、ほかとは一味違う、モダンで高貴な一足です。
「雨の日にも和服を着たい!」という時は、防水の雨用草履があります。つま先の足袋(※2)が濡れることなく、また滑りにくい材質の靴底になっています。雨でも心が明るくなるような、鮮やかな色合いですね。
※2:足袋(たび)……つま先が親指とその他の指で分かれた、靴下のようなもの。下駄や草履を履くときに用いる。
馬の毛や牛皮を用いた雪駄(せった)は通気性があり、しっかりした作りです。雪駄とは、防水機能を備えた草履のこと。
雪駄の由来は諸説ありますが、戦国大名の織田信長が、雪や雨の日でも滑ったり水がしみないよう、足裏に皮を張った草履を茶人の千利休に履かせたのが始まりと言われています。
現代の若い女性をターゲットにした改良版の下駄は、鼻緒の模様で四季の彩りを感じられます。また、かかとが高くなっているので、浴衣を着ている時の姿がさらに優雅に見えます。
履物を試してみたい人に
日本の履物は歴史的な伝統工芸のひとつであり、デザインや形などは昔からあまり変化していません。これは履物の優れた形であることを証明しており、健康は足からと言う知恵の表れでもあります。
形のしっかりした履物を履けば、姿勢も美しくなり、体のバランスも改善されます。体験してみたい人はぜひ辻屋まで足を運んでみてください。
まとめ
昔から履物は、見た目の美しさだけではなく、使う人の健康のことも考えられてきました。日本で和服や浴衣をレンタルするときは、自分に合った下駄と草履を履くことで、身も心も楽しくなるでしょう。
また、カランコロンと下駄の鳴る音からは、伝統的な美しさを無意識のうちに感じることができますよ。
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※本記事は繁体字版の記事を翻訳・再編集したものです。
In cooperation with 辻屋本店